モダンガールなトイレマークを紹介します。
どう?このスタイル
少年のようだよ
発見日:2015年1月24日
提供:KT様
フラッパースタイル?なトイレマーク
今回のトイレマークは、蝶ネクタイスーツの男性とドレスの女性の組み合わせのなかでも、女性のスタイルが特徴的です。
ショートカットにアクセサリー、体形を強調しないフラットなドレス…。
そう、これは1920年代の欧米で流行った「フラッパースタイル」なのでは???と思います。
日本では「おてんば娘」などと訳されるようですが、おてんば娘だとまろやかになっていますね。「はすっぱに振る舞う」とも辞書には書いてありますが、う~ん…はすっぱ…死語です。一応「flapper」は俗語なので辞書にはうまく書いてありません。
とりあえず、第一次大戦下で不在の男性に代わって女性が社会進出するようになり、それまでのコルセットで体を締め付け、長い裾と長い髪に不自由を感じていた女性が、戦後、身軽な服装と積極的な行動様式を獲得していった、という流れだそうです。
でも、冒頭のトイレマークで疑問がひとつあります。
件のフラッパースタイルなのであれば、このロング丈のスカートは当てはまりません。フラッパースタイルの大きな要件のひとつとして、膝丈くらいの短いスカートがあげられるみたいなんですが…。
…と思い、調べてみると、1910年代の初めの頃は、「ホブルスカート」と呼ばれる、すごく細い筒状のスカートが好まれていたそうです。このトイレマークみたいな細いスカートですね。その後1926年以降に膝丈スカートが見られるようになったとか。
ホブルスカート(画像:Wikipedia)
ということは、このトイレマークの女性は、最初の頃のフラッパーと言えると思います!
「少年のような女性」が女性マーク?
そもそも、フラッパーが女性の象徴としてトイレマークになっているってのは、とても興味深い現象です。
フラッパーはフランスでは「ラギャルソンヌ (La Garconne)」と呼ばれ、これは直訳すると、「少年のような女性」となります。
その身に着けているワンピースは、わざと体の凹凸を隠すようにフラットになっており、胸が出ないように押さえつけるようなブラジャーを下に着けたりしていたそう。
ここまでしてボーイッシュに見せ、旧来の女性らしさを避けていたわけです。そうして新しいスタイルを提案していた筆頭格が、ココ・シャネルでした。
シャネルは「古い価値観にとらわれない女性像」をモットーに、ジャージ素材のドレスや、喪服としてしか使われなかった黒のスーツなど、着心地のよく実用的なスタイルを発表し、働く女性の支持を得ていきました。
現在シャネルといえば、女性らしいブランドのイメージですが、その創設には、旧来の女性からの脱却という側面もあったということはとても興味深いですね。その新しい価値観が、現代の女性のイメージになっている…。トイレマークとして見ると、大興奮です。男性らしさ、女性らしさって何だろう…ってことですよね!
ちなみに、同じようなフラッパーだと思われるトイレマークは過去にもありました。
どちらも頭部だけでしたが、今回は全身なので色々考察できてとっても面白かったです!
男性はいまだシルクハット
一方で男性はシルクハットをかぶっています。
シルクハットは一般的にはトップハットと呼ばれ、1797年にイギリスでビーバー製のものが誕生したのが原型。それが次第にシルク製のものに替わり、1830年頃から人気が出て、19世紀中ごろには共和主義者や若者まで一般的に浸透したそう。しかし20世紀になると、礼装用として上流階級くらいが用いるものとなり、皮肉や批判の対象ともなったとか。
ということで、女性のフラッパーたちのいた時代から1920年頃と考えると、男性はかぶっていたのはもう上流階級の礼装時のみのようです。
上流階級とフラッパーの女性…。
どんな関係だろう…。
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