今回見つけたトイレマークは顔の部分が、昔でいう「はだいろ」に塗られていました。
しかしこの「はだいろ」という呼称、現代では見直しが進んでいます。
世の中には黒人や白人、その他色んな肌の色の人がいるからですね。
一概に特定の色が「はだいろ」とは決めつけられませんよね。
では、昔「はだいろ」だった色はどんな呼び名になっているのか?また、それはどんな語源なのか?
調べてみました!
いろんな人種がいるからね
はだいろはこの色のみじゃないよね。
発見日:2022年8月13日
はだいろは現代ではどんな呼び名?
現在の文具を見ると、「ペールオレンジ」「うすだいだい」といった表現を見ることができます。
「ペールオレンジ」とは英語で「pale orange」、「pale 」は「薄い、淡い」といった意味なので「薄いオレンジ色」ということです。
「うすだいだい」はそのまま、薄い橙々色ですね。
どちらもオレンジ色あっての色合いのイメージですよね。
いつ頃呼び名が変わったの?
こうした「はだいろ」という呼称が改められたのは、2000年頃。
文具メーカーの「ぺんてる」が先んじて1999年9月生産分から、「ペールオレンジ」に名称を改めます。
その後、2000年9月に株式会社トンボ鉛筆、株式会社サクラクレパス、三菱鉛筆株式会社の3社が協調し、わかりやすさ等を考慮したうえで和名「うすだいだい」、英名「Light Orange」への変更を決定したそうです。
アメリカでも言い換えられてた
実はこうした「はだいろ」呼びを再考する動きは、日本に先がけてアメリカでありました。
それまで白人系の肌の色を「flesh(=肉、肌)color」と呼んでいたのですが、1950~1960年代のアフリカ系アメリカ人の公民権運動のなかで、この色は「peach(=桃)」などへと呼び換えが勧められていったそうです。
ちなみにファンデーションの色名を見ると…
「はだいろ」を言い換えたとき、「オレンジ色を薄くした」というニュアンスになってしまっていますが、私たちが普段使う化粧品のファンデーションは、特定の色の表現も見て取れます。
日本でのファンデーションの色を指すのに使われることが多い色名のもともとの語源を見てみましょう。
- ベージュ(beige:仏)…もともと染色していない自然のままの麻,羊毛などの織物の色名。
- オークル(ocre:仏)… 鉄の酸化物や水酸化物を含む、黄色を帯びた土。
ちなみに一般的には「ベージュ」は黄味よりの色で、「オークル」は「ベージュ」よりも赤みよりの色となるそうです。
こうしてみると、黄色人種に多い肌の色は土系の色と近いみたいですね。
日本では上記の色の取り扱いが多いですが、アメリカなど海外では黒人や白人などもっとたくさんの肌の色の人がどれも一定の数いるわけで、そういった場合はどのように色を表現しているのかも調べてみました。
すると、シャネルやディオールなど品番のみで表現するものが多いようですが、なかには具体的な色名を使っているものも一部ありました。それが以下↓。
ランコム(USA版)
ビスク(素焼き磁器)、スエード(なめし皮)、アイボリー(象牙)、バフ(揉み皮)など
メイベリン(USA版)
アイボリー(象牙)などにくわえ、カプチーノ、ココナッツ、ナツメグなど
なるほどですね~。色名はやはり天然素材で表現したものがわかりやすいみたいです。まあ、もともとの公式な色名がそうである場合も多いしですね。例えば「アイボリー」は日本でも象牙よりも「白っぽい色」といった認識のほうが定着している気がします。
まあ、ベージュ~茶色の細かい微妙な表現は、何かに例える以外難しいかもしれません。
ファンデーション色が国名…ってアレ?逆戻り?
写真AC
こうして色々調べていて、とても興味深い例にたどり着きました。
それが、「NARS」という割と有名な化粧品メーカーの、ファンデの色名。
USA版サイトでは、ファンデーションの色名が「Namibia(ナミビア)」「Gobi(ゴビ砂漠)」「Siberia(シベリア)」などの地域名であったんです。
モチロン、ナミビアはアフリカなんで結構黒寄りだし、ゴビは中央アジアなので黄色寄り、シベリアはロシアの奥なんで白っぽい色です。
わあ、面白い…!
……と思ったのもつかの間、
よくよく考えると……、ん?
それって日本の「はだいろ」と何ら変わらない状況になっちゃうんじゃ…?
だって、その国のなかでその肌の色が多いのは事実かもしれないけど、違う肌の色の人もいるわけでしょ?そういう偏見をなくすために「はだいろ」呼びからの脱却を日本では目指してたわけで……。
……。。。
む、む、難しいよね……!!!
これ以上は掘り下げまい…。でも、色々と考えさせられました。
トイレマークで「うすだいだい」の使用は…
ちなみに、こうしたシンプルなトイレマークであえて顔が「うすだいだい」になっているものはというと、今回でNo.1034ですが、実は今までなかったんですよ。驚きですよね。
でも頭だけ色を変えられたものは今までにいくつかあって、
頭だけ黒
頭だけ青赤
頭だけ黄緑(!)
といった具合。
この「頭が黒」というのは「はだいろ」問題と同じことではありますよね。
それにしても、頭が青や赤、または緑というのは今見ても面白いですわ…。
【参考資料】
三菱鉛筆株式会社「はだいろがなくなった」https://www.mpuni.co.jp/customer/ans_165.html
NHK生活情報ブログ https://www.nhk.or.jp/seikatsu-blog/800/299152.html
Wikipedia「肌色」https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%82%8C%E8%89%B2
コトバンク「オークル」https://kotobank.jp/word/%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%83%AB-449855
コトバンク「ベージュ」https://kotobank.jp/gs/?q=%E3%83%99%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%A5
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