性別記号について解説します。
俺は男♂
私は女♀
発見日:2014年12月26日
提供:M様
♂♀マークの起源は?
今回のトイレマークは、♂♀の性別記号をもじっていたものでした!
このマーク、トイレ表示のようにたまに見かけることがありますが、男と女、どっちがどっちか皆さんわかりますでしょうか?実際、矢印のほう(♂)が男性なわけですが、これを男性のアソコと思って覚えている人もいることと思います。
しかし実はこれは間違い。
この記号、もともとは惑星を表す記号だったんです。♂は火星、♀は金星です。セーラームーンなどで見たことがある方もいるかもしれません。
古代ギリシアでは惑星のはたらきを神々と関連付けて考えるようになり、赤い火星は血を連想する軍神マーズ、天体をしょっちゅう移動する水星は俊足のマーキュリー、明るく輝く金星は女神ヴィーナス(いずれも英語読み)…といった具合に結び付けました。惑星のほか、金属もこれら神々と関連付けられました。武器を作る硬い鉄は軍神マーズ、固まらず流動性のある水銀はマーキュリー、軟らかい銅やリンは女神ヴィーナスです。
こうして中世、天文学や錬金術が進むにつれ、速記する際にこれら惑星を表す記号が生み出されました。
火星は古代ギリシア語の「Θουροσ」からΘとρを組み合わせた文字が変化し「♂」という形に、金星はギリシア語の「Φωσφόρος」の「Φ」が「♀」という記号になったと言われます。「♂」はマーズの盾、「♀」はヴィーナスの手鏡の形からとする説もありましたが、現在はその可能性は低いと指摘する学者が多いそうです。
なぜ♂♀マークは男女に使われるようになったの?
ロズリンアレクサンダー画 リンネ肖像(WIKIPEDIAより)
上記のように金属や惑星を表す記号として使われていた「♂♀」。
それがなぜ、「男」「女」を表すものとして使われるようになったのか。それは18世紀にさかのぼります。
スウェーデンの博物学者カール・フォン・リンネ(Carl von Linné、1707-1778)は1751年発表の論文「植物の交配(Plantae hybridae)」という論文で初めて、♂♀の記号をオス・メスの意味で使用しました。これは「スペースを節約するため」だったとも言われます。
その後1753年、リンネは「植物の種(Species Plantarum)」という本を出版します。現代の植物の学名はここが出発点とされる革命的な本で、この本のなかでもリンネは♂♀の記号を使っていました。現代の分類学の祖といわれるリンネによる革命的な本のなかで使われたこの♂♀記号の用途は、のちの学術書のスタンダードになっていったようです。
その後、遺伝学などの学術書では♂♀の記号から印刷の簡便な□(または△)と〇を使うようになっていったそうですが、この♂♀の意味合いは現代もこうしたトイレマークなどで見ることができます。
〇△についてはコチラもご参照ください♪
雌雄同体マークもあった?
☿
このオス・メスの♂♀のほかに当初は、雌雄同体を表す記号もありました。それが水星マーキュリーを表す記号「☿」です。水星は、上でも述べたように俊足であちらこちらを駆け巡り、さらに流動性のある水銀を示します。
しかし、この表現は現代ではあまりされなくなっています。雌雄同体と一口にいっても、たくさんの事情と種類があるからですね。性の多様性が認知を上げつつある現代は、♂と♀、☿ 以外にいくつもの表現方法が考案されているようです。
参考資料
wikipedia 惑星記号 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%83%91%E6%98%9F%E8%A8%98%E5%8F%B7
the bmj「Sex symbols ancient and modern: their origins and iconography on the pedigree」 https://www.bmj.com/content/331/7531/1509
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