私たちの使う日本語では、緑色の野菜を「青菜」、緑色の信号も「青信号」なんて呼びますよね。
日本では古来、緑は青に含まれるように考えられていました。では、なぜ緑と青が違う色と認識できる今になっても、青と言ってしまうのか?調べてみました。
トイレマークの緑も男の色でOK?
それはそれで複雑なのよ…。
発見日:2015年12月5日
提供:Iwashi様
日本語で緑を青というわけは?
日本語では古来あった色の名前は「赤、青、黒、白」の4色だったと言われています。
この4色に関しては日本語のかなり昔からあるため、「~い」をつけただけで「赤い、青い、黒い、白い」と形容詞にすることができます。ほかの黄色や緑色は「黄色い」「緑の」など、「色」や「~の」という単語を補ったりしなければならないですよね。
この4色のうち白黒以外の色は「青・赤」である、というのは、トイレマークの基本色なのでとても興味深いです。原始的に基本の色なんだなあ…と個人的にちょっと感動したり。
と、まあ脱線しましたが、基本が4色だったので、当初は緑も青のカテゴリに含まれていました。しかし次第に「青(あを)」と「緑(みどり)」の区別がつけられるようになり、それが起こったのは、和歌の研究から平安時代末期~鎌倉時代(西暦1100年頃)と言われます。ちなみに青と緑の分化は言語の成熟の過程で他の言語でも見られるそう。英語でも、13世紀頃までは” hœwen”という語が青と緑の両方を指していたんだとか。
ではなぜ日本では、今も同一視するの?
現代の日本では、青と緑の違いはすでに浸透しているはずです。しかし、なぜ今も緑と青を同じような使い方をするのでしょうか?
人間が色を見る脳内のメカニズムの研究をする東北大学 電気通信研究所の栗木一郎准教授によると、「色の感覚に対して同じ言語を使う人々の間のコンセンサスを反映する」と言います。
何らかのきっかけで「青と緑の用法は、見え方に従って明確に区別すべき」というプレッシャーが掛かり、それが日本語使用者の間でコンセンサスとして受け入れられる事があれば、緑色の物も含めて「青」と呼ぶ習慣は徐々に通用しづらくなり、その過程で信号機も「緑信号」と呼ばれるようになると思います。
と、述べています(マイナビニュースー緑色なのに「青信号」と呼ぶのはなぜ? より抜粋)。
つまり、日本では外国語にさらされて、区別の判断を迫られることがあまりなかったため、近年まで残ったのだということのようです。
トイレマークでは緑の扱いはどうなのか?
…ということで、日本では青と緑の区別はわかっていつつも、言語の上ではいまだ「青信号」「青葉」などのように用法として見られる、というのが現状のようです。
では、トイレマークでの青と緑の使われ方はどうなのでしょうか。
一般にトイレマークは、青または黒が男、赤が女の色として浸透しています。それを踏まえた上でいままでのトイレマークを見てみると…。
男性が緑だったトイレマークは以上のようなもの。現在全部で814枚のトイレマークを挙げていると考えれば、少ないと思います。やはりトイレマークにおいては、青と緑があれば積極的に青を選んでいるといって間違いないと思います。
まあそのなかもごくまれに緑を使ってみたりするといったものでしょうか。しかし上記のようなラインナップを見ればイチョウの葉のものを除いて、緑=青と同じ範疇と判断しているのだと思います。
しかしそもそも、この男が青で女が赤のイメージも何故なのかいまだはっきりとした理由がわかっていません。でも、緑ではないというところは謎解明のヒントになるかもしれません。
この色分けの謎については、私は生涯のテーマとして追い続ける所存です(笑)。何か判明したらまた記事に書きたいと思います。
色分けについてはこちらもご参照ください。
なぜこのトイレマークは緑なのか?
ちなみに今回冒頭で少し触れたトイレマークですが、ファミレスの「サイゼリヤ」で発見したものです。
行ったことがある方はお気づきかもしれませんが、この2色は、サイゼリヤカラーでもあります。お店のロゴや、店内の装飾など、サイゼリヤは緑と赤のこの2色を使っているんです。著書の表紙もこの2色を使っています↓。
…ということで、今回のトイレマークについては、男性に緑を使った理由は明白。緑をなんとなく男性に使ったのではなく、この2色を男女に当てはめた、というのが正解のようです。
緑の使われ方はこれからも注目ですね。
参考文献
マイナビニュース 2017/04/27 緑色なのに「青信号」と呼ぶのはなぜ? – 大学教授に聞いてみた https://news.mynavi.jp/article/20170427-green_light/
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