天城越えのトイレマーク!どの作品がモチーフかそれぞれの背景を考察!‐No.792

トイレマーク ――横顔シルエット

伊豆の踊子トイレマークを紹介します。

正面を見れない

……。

発見場所:静岡県伊豆市 「道の駅 天城越え」
発見日:2015年8月13日
提供:KT様
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「道の駅天城越え」のトイレマーク!

トイレマーク

 

今回のトイレマークは、伊豆にあったものです。見てすぐに、「わ…!伊豆の踊子だ…!」


吉永小百合バージョンの映画(楽天)

 

…なんて感動したんですが、すぐに「ん…待てよ?道の駅の名前は『天城越え』だ…!」と思い直しました。

天城越えがモチーフになった作品は、伊豆の踊子含め複数あります。「天城越え」そのものがタイトルになっているのがいくつかあります。ということは、伊豆の踊子ではない可能性もあるかもしれません。

「天城越え」で有名なのが石川さゆりの歌ですよね。


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また、松本清張の小説「天城越え」もあります。こちらは時代的にも伊豆の踊子あたりなのだとか。何度か映画化もされており、田中裕子さんや渡瀬恒彦さんの出る1983年の作品が一番有名です。

あ~…ここまでくると、いろんな可能性を探らなければと思い、それぞれ検証してみました。

川端康成「伊豆の踊子」のあらすじは?


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「伊豆の踊子」は川端康成が1926年に発表した短編小説で、舞台は大正時代。

孤独で性格が歪んでいることに嫌気がさした学生である20歳の「私」は、伊豆へ一人旅に出ます。その道中で、14歳の踊子の少女とその家族ら旅芸人の一座に出会い、道をともにすることに。ある宿では、踊子が男性客に汚されないかと心配し眠れない夜を過ごした「私」でしたが、翌朝、朝湯につかっている「私」に、川向うの湯舟から無防備に手を振る幼い少女の姿をみて安心し、踊子の純粋さに魅了されていきます。

社会的に蔑視されていた旅芸人に身分の分け隔てなく接する「私」に旅芸人一行は心を開き、「私」も彼らとの交流で心が安らいでいきます。下田へ着き、次の日東京へ帰らねばならない「私」は踊子ら姉妹を映画に誘いますが、姉が行けなくなると、踊子は母親の反対で来れませんでした。「私」は一人映画館でわけもなく涙を流します。翌日、「私」は帰りの船に乗る際、踊子がひとり船着き場にうずくまっているのを見つけます。踊子は話しかけても頷くだけ。「私」は船に乗り、踊子と別れます。桟橋で踊子は白い布を振り、私はそれを眺め涙し、「その後には何も残らないような甘い快さ」を感じました。…という話。

幾度となくドラマや映画化され、田中絹代や美空ひばり、吉永小百合、山口百恵など歴代のトップ女優が踊子を演じました。

石川さゆりの歌「天城越え」の背景は?


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「天城越え」は1986年に発売された石川さゆりの歌で、作曲は弦哲也、作詞は吉岡治による作品です。

歌詞は全文載せることはできませんが、気になるところをピックアップすると

『 隠しきれない移り香が
いつしかあなたに浸みついた
誰かに盗られるくらいなら
あなたを殺していいですか 』

『 口を開けば別れると
刺さったまんまの割れ硝子
ふたりで居たって寒いけど
嘘でも抱かれりゃあたたかい 』

『 戻れなくてももういいの
くらくら燃える地を這って
あなたと越えたい 天城越え 』

というフレーズから想像すると、これは女性が主人公で、相手の男性にはほかの女性がいるという状況のようですね。男性は口を開けば別れると言ってはいるようですが…。「誰かに盗られるくらいならあなたを殺していいですか」なんて、かなり激しい心境です。「山が燃える」という情景も入っており、それは心情なのかもしれませんが、かなりの修羅場です。「天城越え」と色んな一線を越えてしまう様子を重ね合わせた名曲です。

松本清張「天城越え」のあらすじは?


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松本清張の「天城越え」は、1959年に発表された短編小説。短編集『黒い画集2』に収録されています。

下田に住む16歳の少年・建造は鍛冶屋の家業に嫌気がさして家出をします。奉公に出ている兄のもとへ天城越えをして一人向かう途中、女郎屋から抜け出してきた娼婦・ハナと出会います。穏やかな時間を過ごしながら二人歩いていきましたが、途中、土工が殺されるという事件が起きます。そしてハナが捕まってしまいますが…。というサスペンス。

こちらも何度かドラマや映画化されましたが、1983年の映画「天城越え」がハナを演じた田中裕子の演技が数々の映画祭で主演女優賞を獲得するなど高く評価され、脇役も渡瀬恒彦・樹木希林・吉行和子などそうそうたる顔ぶれです。

結局、トイレマークはどの作品モチーフ?

トイレマーク

…と、ここまで見てきましたが、この初々しい二人のシルエットに合うのは、一作品「伊豆の踊子」しかなかったですね。

石川さゆり「天城越え」は、どっちかというと大人の情念を歌ったものであるし、松本清張「天城越え」は、女性が娼婦なのでこんな感じではないと思います。

……って、道の駅の名前、どうして「天城越え」にしたのかしら…。まあ、単なる下田街道の最大の難所ってことを言いたかったのかもしれませんが、作品名と思うと、ドッロドロの作品ばかりです(笑)。

二人が背中向けて佇むシルエットがいい!

トイレマーク

改めて、このトイレマークが「伊豆の踊子」として見ると、二人が背中合わせに立っているのがたまらないですね。向き合っているんじゃなくて背中合わせ、初々しいですね~~。少女がちょっとうつむき加減なのもいいです。「男」「女」のシンプル表記も、レトロな感じでイイ!

今回、改めて川端康成「伊豆の踊子」、石川さゆり「天城越え」、松本清張「天城越え」に触れてみて、色々と面白かったです。学生時代に「伊豆の踊子」は読んだことがあるんですが、すっかり忘れていました。映画「天城越え」は今回気になって観てみたんですが田中裕子さんが色気あってすっごくよかったです!ひたむきなあの「おしん」と同年公開ってどういうこと!?…と、女優の力量を感じました。トイレマークを調べる縁で、こういう作品に出会えるのはとっても楽しい日々です。

それにしても、関東の人にとっては天城を越えるということが本当に異世界へ来るとかそんなイメージなんだろうなあ…と改めて思いました。私自身、広島出身の九州住まいなんで、あんまりピンと来てなかったのですが、伊豆半島はあとで本州に大陸移動でドッキングした部分って前に聞いてから、何となく異世界感があるんだろうと個人的に思っています。

って、アレ?石川さゆりも松本清張も九州じゃね?…なんて気づいたけどまあそれは置いときましょう。

 

 

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