今回見つけたトイレマーク。
色んなヒトのピクトグラムが羅列されていて、様々な人が使えるトイレなのは、なんとなくわかります。
でも……
もはや立ち止まって「解読」が必要なレベル。
こうしたピクトグラムの解読性の問題だけではなく、近年は、この「多機能トイレ」自体の在り方についても様々な問題が挙がってきました。
今回はこのトイレ問題を個人的にクローズアップしてみようと思います。
僕ら以外にたくさんいるってのもイイね!
トイレなのかどうかはわからなくなっちゃうけどね。
発見日:2022年10月16日
マークの羅列
「多目的トイレ」「だれでもトイレ」「身障者トイレ」「バリアフリートイレ」と様々な呼び名があるこうしたトイレ。
ピクトグラムを一つ一つ見てみれば、左から「男性」「子ども」「女性」「(少し足の不自由な)人→お年寄り等」「車椅子の人等」「オムツ替え」「オストメイト」の機能が並んでいます。
さらには、複数のピクトグラムが並んでいることから、「(身障者・子ども等の)異性の付き添い同伴」「(男女に限らない)性別の人」なども含むということを連想し、読み取ることができます。
たくさんのピクトグラムが並ぶことで「文章を読み取るような」作業が必要です。
これはまさに、エジプトの「ヒエログリフ」…!
とでもいいたくなるような現象が起きています(笑)
……でもまあ、人は道を歩いていてこのたくさんのピクトグラムを一瞬にしてすべてクリアに読み取っているかといえばおそらくほとんどの人がそうではないわけで。
「いろんな人が使えるトイレ」
として認識している人が大半だと思います。
「多機能」であることの困った点
イメージ(※このトイレの内部ではありません)
こうした色んな機能を盛り込んだトイレは、従来の「男性」「女性」でまかないきれなかった色んなトイレ利用者のニーズに対応する形で、「オールインワン」として発展していったわけですが、「だれでも」としたことで、利用者が集中してしまうといった問題点が近年指摘されています。
「着替えスペース」などの利用者のために、本当にトイレが必要な「車椅子用トイレ」「オストメイト」などの利用者が長時間待たなければならないといったことが起きています。
また、「だれでも」が強調されてしまったがために、「空いていたら健常者も使えるのでは?」といった認識も広がっています。
こうした事態は、国交省も把握し、機能を分散化することで改善を試みています。
たとえば、「オムツ交換台」などの乳幼児用施設、「オストメイト」などの機能は、男女それぞれのトイレスペースのなかに設置することなどを盛り込んだ設計基準(「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」R3.3改訂)にするなどしています。
ただし、トイレは建築物なので、すでに建ててしまったものなどは設計をすぐに変えて行けるものではありません。これまた徐々に新築や改築するものから変わっていくものなのではないかと思います。
現在の呼び名は「バリアフリートイレ」
ちなみに、こうしたトイレは現在、国のいう正式名称は「高齢者障害者等用便房(バリアフリートイレ)」と呼ぶのが正しいようです。
それには、過去の反省から、健常者も気軽に使えるのではといった「だれでも」というニュアンスを薄めていくという意識がはたらいています。
そして、具体的な機能に関しては、ピクトグラムを活用することとしています。
いや……まあ色んなピクトグラムを並べるのはいいんですが…、冒頭のように細分化したピクトを並べると、今回のように見慣れないものだとヒエログリフ化が顕著になっちゃうので、個人的な印象ですが、こうした「身障者」等のマークは、今回の冒頭写真のような「オリジナル」は避けるべきと思います。
規定のピクトグラムのほうが見分けやすいと思いですよね……。
こうして少しずつ、「皆が使いやすい」ように試行錯誤を日本でも繰り返しているんですね。
また一方で近年、世界的な規模で起こっているトイレの「性別」問題。
「LGBTQ」に配慮したトイレに関しては、まだ多くが検討&試行錯誤中です。
個人的にはこの問題に関しては動向を見守り中です。非常にデリケートな問題であって、どの意見も一理あるように思います。しかし子を持つ親としては「子どもや思春期の子が安心して使えるトイレ」を一番にしてほしいというのが願いです。
男女共用についてはこちらの記事もチェック!
参考文献
国交省バリアフリー政策課https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/barrierfree/content/001443243.pdf
NHK「多目的トイレ 誰のためのもの?」2021年2月26日https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210226/k10012883011000.html
国交省「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準の改正概要(令和3年3月)」https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/barrierfree/sosei_barrierfree_tk_000016.html
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