男女共用トイレについて!なぜ必要?トイレマークに決まりはあるの?-No.1022

トイレマーク ――四肢アリピクトグラム

 

このたび、私がようやく出会えたこのトイレマーク。

一般的な、男女の間にもうひとり、半身だけスカートをはいた人物が描かれています。存在はかねがねうかがっておりましたが、こうして目の前にするのは初めてです。

 

半分男性、半分女性。

男や女に限らない、ということを端的に表現しようとしたのだと思いますが、半々というその形は賛否両論あるのは当然のことと思います。

現在、性的マイノリティの抱える諸問題や、「男女共用トイレ」というトイレの「造り」の是非についても、トイレを通して様々な面からの問題が顕在化してきています。

トイレマークという目に見える表現だけを軽~く扱ってきた当ブログですが、今回、「男女共用トイレ」についてちょっと整理していきたいと思います。様々に意見があると思いますが、お手柔らかにお願いします。

男か女かどっちか、ってのも見直さなければいけない時代な

いろんな側面があるわ。

私たちもひとくくりではないよ。

トイレマーク発見場所:福岡県大牟田市 大牟田市動物園
発見日:2021年12月5日
スポンサーリンク

男女共用トイレとは?

 

近年公共施設などで設置が増えている「男女共用トイレ」。

これは、性別に関係なく入れるトイレのことです。

近年、多様性の流れのなかで男性か女性の二者択一しかない従来のトイレでは使いづらい方の問題が、広く認知されるようになってきています。

その一つは、性的マイノリティの方々です。自認する性と身体の性に違和がある方などは、どちらに入っていいのか迷う状況です。二つ目には、異性の介助者とともに入る際です。保護者と子どもが異なる性の場合や、知的障害・身体障害などの介助が必要な方と介助者が異性だった場合などです。

こうした男女共用トイレ、現行ではいくつか種類が挙げられます。

1.共用の個室が1~2室のトイレ。

小さな店舗、一般家庭などにある、個室が1~2室のトイレ。この場合全員が男女共用の個室トイレを使う形になります。トイレを利用する人がそう多くはない場合はこれで十分まかなえますよね。

2.女性専用、男性専用トイレのほかに共用トイレ

これは最近コンビニなどでよく見る、女性専用トイレ、男性専用トイレのほかにある、男女どちらも入れるトイレ。この場合、「男性トイレ」「女性トイレ」のほかのトイレとして「共用トイレ」が存在することになります。

このタイプであれば、男性が用を足したいだけなのに、前の女性が身づくろいしていて待たねばならない…という、男女の時間差問題もある程度クリアします。

3.多機能トイレと兼用の「誰でもトイレ」

トイレマーク

そして3つ目に挙げられるのが、多機能トイレと兼用の「誰でもトイレ」です。

現行では、こういった「誰でもトイレ」が障害ののほか性別にも関係なく、みんなが使うことのできるトイレとして存在します。

しかし近年、「誰でも」を強調した結果、様々な機能をこの一つのトイレに集約しすぎて、設備上そこしか使えない身障者などが長く待たねばならない、といった問題が浮上してきました。

また、目には見えない困難を抱えた人の多機能トイレの利用を、とがめられるということも相次いでいます。

その状態を改善するためにも、現在、共用トイレの検討が進められています。

じゃ、男性・女性・身障者のほかにオールジェンダートイレをつくればいい?

では、そういった当事者用のトイレを、男専用・女専用のほかにもう一個別に作ればいいんじゃない?と考えることもできると思います。これはある面では問題を解決する一方で、もう一方の問題が生じます。

性的マイノリティの方々は、普段はそれを公表していない方も多くいます。男性・女性のほかに作られた「男女共用トイレ」をあえて使うことで、周囲の方に暴かれてれてしまうという弊害も出る可能性もあります。そのため今回のような半身男性・半身女性の人物や、虹色の人物が描かれたトイレを使わせられるのはハラスメントであるととらえる方もなかにはいます。

また、「性的マイノリティ<LGBTQ>」と一口に言っても、普段使うトイレに違和感があるのは、ほとんどT(トランスジェンダー)の方のみです。L(レズビアン)・G(ゲイ)・B(バイセクシャル)の方は使うトイレに違和感はないわけで、そういった方は別に共用トイレでなくてもよいのです。

トランスジェンダーとは
生まれつきの身体的性別と、自分が認識する性別(性自認、ジェンダー・アイデンティティ)が異なる人々の総称。「超える」を意味するトランスtransと、「性別」を表すジェンダーgenderをあわせた造語である。
(ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典より)

ただ、こうした多様性のマークを掲げてあることで、それをプライドとして喜んでいる方もいます。

マイノリティだからといって男性・女性以外でひとくくりにはできないのです。

では、すべてのトイレを男女共用にするべき?

共用トイレ

それでは、ジェンダー平等を考えるなら、極論ですが、トイレはすべて「男女共用」にしたら解決するのでは?と考えることもできるかもしれません。

実際、スウェーデンなどでは公共トイレは男女の壁はなく一か所に個室が並んでいるのみのところが昔から存在するそうです。こうしたトイレは現在、世界で性的マイノリティへの配慮から学校などもこの造りのトイレにしようという動きがあります。アメリカのニューヨーク市は2016年に「公共の個室トイレをオールジェンダートイレにする法案」が可決し、「All Gender(オールジェンダー)」や「Gender Neutral(ジェンダーニュートラル)」と掲げられたトイレを見ることができます。しかし、この共用トイレには問題が多く指摘されています。

日本でも、この造りのトイレの案が上がったりしていますが、様々な反対意見が出ています。主だったものは以下。

1.盗撮・性被害にあいやすくなる可能性がある

男女の公衆トイレを一つにすることで、一番危惧されているのがこれ。性被害が増えるのではないか、ということ。

男女どちらも出入りすることが不自然ではないので、盗撮カメラを設置しやすくなったり、犯罪者が被害者を個室に引き込む可能性があります。

現状では個室の手前で男性トイレ・女性トイレでエリアが分けられているので、異性がそこに入った時点で犯罪になります。これはある程度、犯罪抑制に効果があると思います。

異性がみんな犯罪者ではないというのは当然なんですが、被害にあうのは弱者が多いのも事実です。

個人的に、子を持つ親としては…、我が子をこのタイプのトイレには容易に行かせられないというのが本音です。

2.隣を異性が使う場合、音や時間、生理用品などが気になる

用を足す際の音を流水音で紛らわせる装置が、トイレの設備として独特の発展をしていることからもわかるように、日本人は特に周囲の反応に敏感だと言われます。同性同士でも気にするのに、ましてや異性が隣にいるとなると、スムーズに用を足すことができるのか疑問です。

現状でさえ、施設や職場に男女共用トイレしかない場合、コンビニなどへわざわざ出て用を足す人もいます。ましてや、カップルで隣同士の個室トイレが使えるのでしょうか。

また、生理用品の処理も好奇の目にさらされるかもしれないという不安を感じる女性もいます。これは男性側としても、きちんと三角コーナーにおさまっていなかったりした汚物を目にしたくないというのもあります。

現在の女性トイレにはパウダールームが備え付けられている場所もあったりと、トイレは用を足す目的以上にかなりのプライベート空間でもあります。

3.便座を上げるか下げるかのマナー論争も起こる

トイレイメージ

男性が洋式トイレを使うときにしばしば問題になる、「便座を上げてするか?下げてするのか?」という問題。男性がトイレを立ってする際に尿が飛び散っているのが嫌だと、衛生面でこういった点を指摘する女性も多いです。

この問題についても…、正解がないですよね。

家庭ですら紛糾する問題なのに、公衆トイレでこの結論が出るのでしょうか?

そもそもトイレが男女別になったわけは?

そもそも、日本において現在のようにトイレが男性と女性に分けられるようになったきっかけは、ひとつには国際労働機関(ILO)が職場に男女別トイレの設置が規定されていることを勧告したことが挙げられます(昭和39年第120号勧告)。

この勧告を受け、厚生労働省は労働安全衛生法などで職場のトイレについて規定しました。

現行の労働安全衛生法に基づく「事務所衛生基準規則(昭和 47 年労働省令第 43号)」では、職場のトイレは、女性用、男性用に分けること、便器は、①女性用②男性の大便用③男性の小便用の3つが必要であることなどが定められています。

なお、この規則は50年近く前に制定されたもので、近年見直しが行われています。2021年の「事務所衛生基準のあり方に関する検討会」の報告書では、小さな職場は労働者数が10人程度までの小人数の事務所については、男女共用トイレ1つでも可能という提言がされました。

しかし、これには多くの反発が寄せられ、上に述べたような意見がSNSやパブリックコメントなどでたくさん上がりました。男女の壁をなくした共用トイレへの反発は浮き彫りになっています。ただ、前提ではILO勧告もあるため「男女別は維持しながらも」という考えのようです。

以上は職場環境の話でしたが、公共の施設という面では教育現場などでも男女別は推奨されています。

文部科学省の「学校施設整備指針」では、たとえば小学校の場合「児童の分布の状況及び動線を考慮し,児童が利用しやすい位置に,男女別に計画することが重要である。(小学校施設整備指針)」と規定されています。

男女共用トイレのマークって規定があるの?

トイレの造りについては、まだまだ検討中の流れの中である「男女共用トイレ」。しかし日本ではピクトグラムとしては、すでに2020年に設定されているんです。

JISトイレマークなど、公共の場に使われる標準案内用図記号を製作した「エコロジー・モビリティ財団」が、各方面への意見ヒアリングを行い、専門家となんども検討を重ねた結果、2020年に「共用トイレ」の標準案内用図記号(ピクトグラム)として設定しています。それがコレ。

今まで慣れ親しんできた男女の形です。えっ何が違うの?と思う方もいることでしょうが、このマークで推奨されているのは

①「白黒」であること、
②「男女の間の隔たりがない」ことです。

検討会で、トランスジェンダーの方にヒアリングの結果、男・女とはまた別に第三の人物のピクトグラムを作った場合、LGBTと認識されて使いづらくなる、といった意見が出たことから、新たなピクトグラムは作らない方向になったそうです。

しかし、男女の隔たりがないだけでは現状の一般トイレと見分けがつかないという意見もあり、その点は「色彩はモノトーン」また、「男女共用 All gender」という表記を付け加えることが望ましい、と注意書きをつけることで一般に公開する流れになったとのこと。

ということは、従来の男女別トイレは、きちんと男女の間に壁を描かなければいけないのですが…、現状は隔たりのないトイレマークを使っているところは数多くあるのが現状です。

このピクトグラムも、男女共用トイレの存在についても、まだまだ改善の流れのなかです。

最後に

トイレマーク

トイレマークを今まで眺めてきた私ですが、これまでにも、

性差をなくして男女同じマークにしちゃう、とか、

トイレマークのジェンダー問題について!男女同じ色形で提起したもの‐No.274
男女同じ座ったトイレマークでから見る問題について検討します。

 

男女逆の色にしちゃう、とか

トイレマークの男女の色を逆にしてみたらどうなるの?-No.013
色と形が通常と逆のトイレマークについて解説します。

 

もう人間は描かないで便器マークにしちゃう、とか

便器の形のみのトイレマーク!FOR ALLという表現にも注目!‐No.925
便器のトイレマークを紹介します。

 

様々なトイレマークの挑戦を見てきました。

従来の男女観を見直し、不必要な性差をなくしていくのは常にやっていかねばならないものなのですが、性差はすべてなし!全部一緒にしちゃえ!としてしまうのもまた違うと思います。

男らしさ・女らしさってのもそれぞれプライドを持つべきものでもあるとは思います。

まあ…、画一的なトイレマークばかりじゃつまらない…てのが私の本音です。でも、実際どうやって解決していくんでしょう?それぞれの立場があり、また、これはどちらも譲れない問題です。これからも注視していくつもりです。

 

【参考文献】

公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団「男女共用お手洗 All gender toilet について」http://www.ecomo.or.jp/barrierfree/pictogram/allgender_toilet/

TOTO「対談 男女別トイレ、男女共用トイレ、車いす使用者トイレ。多様化が進むパブリックトイレに必要な”サイン”とは」2020年8月4日掲載 https://jp.toto.com/ud/style/plus/story01.htm

厚生労働省「事務所衛生基準のあり方に関する検討会」https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_13194.html

SANKEIBIZ 「男女別トイレ廃止は行き過ぎか? LGBT配慮の米小学校に反発の声」2015年9月14日掲載 https://www.sankeibiz.jp/express/news/150914/exd1509140000001-n3.htm

コスモポリタン「当たり前になっている?ニューヨークの「誰でもトイレ」事情」2021年8月26日
https://news.yahoo.co.jp/articles/61728856ece90b4810f4849f7a4953060ba5f64e

独立行政法人労働政策研究・研修機構「ビジネス・レーバー・トレンド」2021年5月号
https://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2021/05/054-056.pdf

コメント

タイトルとURLをコピーしました