浮世絵モチーフらしきトイレマークを紹介します。
俺は「勧進帳」!
私たちは「寿曽我の対面」!
発見日:2013年5月3日
提供:KT様
浮世絵モチーフのトイレマーク!
今回のトイレマークは、浮世絵のようです。
男性が男一人なのに対し、女性は2人います。何故でしょう?
もしかしたら、この浮世絵のモチーフに何かエピソードが隠されているのかと思って、かなり画像を探しました。しかしながら、この元となった浮世絵を探し出すことができませんでした…。でも、あるものを見つけたんです!
それは、このトイレマークと全く同じイラストの「手ぬぐい」という2枚の製品です!
男性のイラストは反転しているようですね。でも、イラストや背景の色は全く同じのようです。これが見つかったことにより、この絵のモチーフが明らかになりました!
このてぬぐい、男性には「勧進帳」、女性には「寿曽我の対面」と名前がついていたんです。
男性マークの「勧進帳」とは?
この手ぬぐいには、「勧進帳(かんじんちょう)」という名前がついていました。
勧進帳とは、歌舞伎の超有名な演目ですね。兄・源頼朝から追われることとなった源義経と弁慶の一行が安宅の関にて山伏の姿に扮して、関所を切り抜ける話です。
勧進とは、寺社への寄付を募ること。焼失した東大寺再建のための勧進を行っていると言う弁慶に、関所の役人・富樫は勧進帳を読んでみるよう命じます。弁慶はたまたま持っていた巻物をよどみなく読み上げ、さらに問答も難なくこなします。しかし、関所の役人一人に義経が疑いをかけられると、弁慶は主君の義経を杖で叩き、その疑いを晴らそうと必死になります。富樫は実は義経一行だと見破りつつも、その思いを汲んで騙された振りをして関を通すのでした。危機を脱した弁慶は義経に涙ながらに詫び、あとを追ってきた富樫が非礼を詫びて酒を勧めると、酒を飲み舞いを舞う間に義経を逃がし、それから後を追うのでした。
…という話。主従関係など男気溢れる感じで、見た目の勇ましさもあり男性マークに最適だったのだと思います!
女性マークの「寿 曽我の対面」とは?
「寿 曽我の対面(ことぶき そがのたいめん)」も、歌舞伎の人気の演目。「曽我兄弟の仇討ち」の話の一環で、父を殺された十郎と五郎の兄弟が宿敵・工藤祐経(すけつね)と対面するというシーンです。
あらすじは、源頼朝の家臣・工藤祐経は、頼朝ら家臣が大集結する「富士の巻狩り」の指揮を仰せつかいます。その祝いの席に遊郭から「大磯の虎」、「化粧坂の少将」という2人の人気遊女も駆けつけて彩を添えます。そこへ2人の若者と工藤は対面します。それは、昔討った河津三郎の子・曽我十郎祐成(すけなり)と五郎時致(ときむね)でした。親の仇、とはやる2人を工藤はなだめ、巻狩りを無事終えた後に討たれることを約束、巻狩りの通行手形を与えて別れる、という話です。「大磯の虎」、「化粧坂の少将」の2人はそれぞれ曽我十郎・五郎の兄弟と実はいい仲であり、気品をもってその場で接する…という役どころのよう。
つまり、この女性二人は「大磯の虎」、「化粧坂の少将」の遊女二人ですね。
こんなシーンで女性が…?とも思いましたが、こういう敵に説得されて思いとどまるシーンなので、より気品が際立つのかもしれませんね。そして、2人いるのは2人セットで動いているからだと思います。
ちなみになんの偶然か曽我兄弟の仇討ちに関しては、以前兄弟の地元で取り上げましたのでこちらもご参照ください。
どうしてこの2つがトイレマークに?
結局、この2つのモチーフがトイレマークに選ばれたのは、絵に使えそうな手ぬぐいがあったから?でしょうか。でもそれにしたって、女性が2人よりは1人の絵のほうが男女の均衡取れそうですけどね。調べてみると、同じ手ぬぐいシリーズでは美人画の方で「扇屋内花扇」という歌麿の絵モチーフのものが1人の女性の絵であるみたいでした。どうしてこっちを使わなかったんだろう…?
しかし、勧進帳も寿曽我対面も、頼朝がらみです。このトイレマークを作った人が知ってか知らずかわかりませんが、鎌倉幕府、意識されまくりです。
また、今回のトイレマークは、男性の背景がピンクっぽかったので、その理由も知りたかったのですが、おそらく手ぬぐいの色そのままだったからですね。トイレマークをじっくり見ても実際の手ぬぐいを使っているようには見えませんが、どう見ても同じ絵なので、つながりがあるのは事実だと思います。
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