トランプのキングとクイーンにはモデルがいる?顔の向きにも意味が?‐No.765

トイレマーク ――その他アート

先日写真をもらったトイレマークは、トランプのキングとクイーンの柄でした。

これは何のマークのキングとクイーンだろう…と調べるうちに、トランプのキングとクイーンにはそれぞれモデルがいて、さらに顔の向きには意味があるという面白いことが分かったので、紹介します。

 

私に仇なす者はこの剣で成敗してくれる

お花だけ眺めときましょう

発見場所:ベトナム 某所
発見日:2015/2月某日
提供:中村様
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トランプのK・Q・Jはモデルがいる?

トランプといえば、11、12、13であるj、Q、Kはそれぞれ人物の絵柄ですが、実はコレ、それぞれモデルがいるらしいんです。

これは16世紀頃のフランスで絵札に伝説上の偉人をあてはめたのが由来とされています。

それぞれのモデルを紹介します

キング(K)

※フランス式では「R」で表記されます。

  • スペード…旧約聖書のダビデ王(前1000‐前961)。
    竪琴が上手い羊飼いの身からエルサレムに都を置く王となった人物。投石器と羊飼いの杖を持って巨人ゴリアテに戦いを挑んだため、竪琴や杖を持っている絵柄もあります。倒したゴリアテの剣を常に持っていたとされます。
  • クラブ……マケドニアのアレキサンダー大王(アレクサンドロス3世・前356‐前323)。
    ギリシャからエジプト、インド北西部にまたがる大帝国を築いた王で、「地上の統治者」を表すとされる宝珠を身に着けていることもあります。
  • ハート……カール大帝(シャルルマーニュ・742‐814)。
    フランク王国の王であり初代神聖ローマ帝国の王。彼だけヒゲがありません。これは、職人が木版の際にヒゲを落としてしまったから、とか、職人が描き忘れてしまったから、と、ただのミスの可能性が高いのだとか。
  • ダイヤ…ユリウス・カエサル(ジュリアス シーザー・前100‐前44)
    古代ローマ帝国皇帝。武器は王で唯一「斧」を持っています。

クイーン(Q)

トランプのもととなった中東のカードでは騎士だったものが、15世紀後半にフランスで女王の絵柄になったそう。フランス式では「D」で表記されます。女王はそれぞれバラを携えていますが、これはイギリスの王位継承をめぐる内乱「バラ戦争(1455-1485)」に由来するとか。

  • スペード…パラス・アテナ
    ギリシャ神話の知恵の神であると同時に戦いの女神。花とともに武器を持っていることもあります。攻めの戦いではなく、守りの戦いの神なんだとか。
  • クラブ……アルジーヌ
    ラテン語のクイーン「Regina」を入れ替えたアナグラム「Argine」。フランス・ヴァロワ朝国王シャルル7世の妻マリー・ダンジューを指すと考えられています。夫には愛妾アニエス・ソレルがおり、宮廷でも力を持っていたとされますが、マリーの寛大な心と双方の節度ある態度で日々を過ごしていたそうです。
  • ハート……ユディト
    いくつか説がありますが、旧約聖書に出てくる女傑ユディトという説が強いです。彼女は美しく、また、敵将の首を取ったというハートの強い女性です。このほかカール大帝の息子の妻ユディトともいわれます。
  • ダイヤ…ラケル
    旧約聖書のヤコブの妻の一人ラケルで、ヨセフの母。ラケルに惚れたヤコブは「7年働けば結婚を許す」とラケルの伯父に言われ、7年働き結婚にこぎつけますが、式後、花嫁を見るとラケルの姉でした。それからまた7年働き、ようやく二人は添い遂げたという、忍耐があり愛される女性です。

…といった具合にキングの面々に比べて神話の女性が多いですが、まあエピソードを知れば、ちょっと納得ですね。

ジャック(J)

従者であるジャックは、フランス式ではVと表記されます。

  • スペード…カール大帝の従者オジェ・ル・ダノワ
    デンマーク人で地元では伝説の「ホルガ―・ダンスク」として愛されています。詩「オジエの騎士道」では、カール大帝に反逆してみせる英雄として描かれます。
  • クラブ……アーサー王の円卓の騎士長ランスロット
    フランスの地方の王族出身で、イギリス王の騎士長。湖の妖精に育てられ、主君の妃と不義の恋に陥ったりしますが、騎士としての振る舞いは素晴らしいと評価されているとか。
  • ハート……シャルル7世の従者でジャンヌダルクの戦友ラ・イル
    英仏の百年戦争でフランスの領地回復のため戦い武勲を上げた人物で本名エティエンヌ・ド・ヴィニョル。ラ・イルとは古いフランス語で「憤怒・粗野」などの意味があり、短気で略奪癖のある性格だったとされます。
  • ダイヤ…ギリシャ神話の戦士トロイの王子ヘクトール
    トロイア王国の王子であり、トロイア戦争の最強の戦士。敵アキレスに敗れますが、善き男、善き父だったとされ、トロイア戦争の原因となった弟パリスにも寛大だったとされます。

…といった具合の従者たちですが…、ホントにこの人選でいいのか?といった疑問が個人的にわかないでもないです(笑)。

顔や目線の向きの意味は?

絵札の人物の顔や目線の向きは、それぞれの立場とマークの向き合い方に関係があります。

  • キング……老人全般
  • クイーン…女性全般
  • ジャック…若者全般

そしてスートと呼ばれるそれぞれのマークの象徴は以下。

  • スペード…剣、死
  • クラブ……知恵
  • ハート……愛
  • ダイヤ……財産

ここから導き出されるのが、以下のようなものになります。

  • 老人は、死には顔を背け、愛は顔を向けるものの目をくれず、知恵は見つめ、財産は真横を向くほど見つめている。
  • 女性は、死には顔を背けるものの、愛・知恵・財産は凝視するほどではない。
  • 若者は、死には背を向け、愛を正面に見つめ、財産は興味あるものの凝視せず、知識は顔を背けている。

といった具合です。
男女や年齢の違いが表されていて、とても面白いですね。意外と女性は愛を見つめていない、それどころか、どれも見つめていないってのが、あっさりしていていいですね~!若者は…もう、わかりすぎますね(笑)

ということで、このトイレマークは…

…と、ここまでみてきて、冒頭の今回見つけたトイレマークを見てみましょう。

男性は…

キングの口ひげがないですね!ということは、ハートのキングでしょうか?ということはカール大帝!?手に携えているのも剣で斧ではないので、少なくともカエサルではないようです。

一方の女性は…

あれ?クイーンは一般的にどのスートも見据えず前を向いていたんでしたが、今回は真横を向いていますね。花を眺めている…もしくは、花を通り越して何かしらのスートを見ているのでしょうか?何だろう?

まあ、男性がハートのキングの可能性があるってことで、女性もハートのクイーンとなると、ユディト、つまり敵将の首を打ち落とす勇敢な女性となりますが…。なんか、そんな雰囲気は感じられません。花を見つめてキョトンとしています。ああ、ユディトは件のカール大帝の息子嫁とも言われているんでしたね。カール大帝の息子嫁も、息子シャルルを守るためにいろいろと画策した強い女性だったみたいです。その背景を知ると、花を見つめるその先に何があるのか気になりますね。

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